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しくったー

失敗談

同期のミスを上司に伝えた。言わなくても誰も困らないと、言う前から分かっていた

💼 仕事・職場 被害レベル 4 かなりヤバい
課長に呼ばれたのは、期の評価が固まる2週間前だった。
「来期、どっちかをリーダーにする。率直なところ、どう思う」

どっちか、というのは私と森のことだ。同期。入社から11年、ずっと同じ部署にいる。

私はこう答えた。
「森さん、先月の見積、単価を一桁間違えて出してましたよね。先方が気づいて差し替えになりました」

事実だ。全部事実だった。差し替えは即日で、損害はゼロ。客からクレームも来ていない。森は「うわ助かったー」と笑っていた。

口を開く前に、一瞬だけ思った。これ、言わなくても誰も困らないな、と。終わった話だし、課長はたぶん知らないままだ。
「でも、聞かれたんだから答えるのが仕事でしょ」
そう自分に言って、続けた。「ああいうの、正直、前にもあったので」

——前にもあった、は盛った。一度もない。

リーダーは私になった。森は半年後に別部署へ移った。送別会で「おめでとう、頑張れよ」と肩を叩かれた。

三年経つ。森とは社内ですれ違えば会釈する。それだけだ。
あの一言がなくても私はリーダーになれたかもしれないし、なれなかったかもしれない。分からないままなのが、いちばん残る。

今も、見積書の単価欄を見ると喉が締まる。
この失敗からの教訓

事実しか言っていない、という言い訳は自分にしか効かない。

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