結婚式の朝、父のマニュアル車に花嫁を乗せ、教会へ続く坂の途中でエンストした
式場は、坂の上の小さな教会でした。花嫁を乗せる車は、父が40年乗っている古い赤いオープンカー。マニュアル車です。 「せっかくだから、お前が運転…
教訓 体が覚えているかどうかは、本番の坂で初めて分かる。
編集部が書いた「ありそうなしくじり」を置いています。ここにある話はすべて創作です。本物のしくじりは、あなたの投稿で。
式場は、坂の上の小さな教会でした。花嫁を乗せる車は、父が40年乗っている古い赤いオープンカー。マニュアル車です。 「せっかくだから、お前が運転…
教訓 体が覚えているかどうかは、本番の坂で初めて分かる。
全社のオンライン会議。社員1,100人がつながっていて、社長が新しい事業案を30分かけて説明していた。地方の店を全部、店員のいない無人の店に変える…
教訓 独り言のほうが、会議の発言より本音だったらしい。
冬、山あいの湖へスケートに行きました。湖が全面凍ると、そのまま天然のリンクとして開放される場所です。学生時代はアイスホッケー部だったので、滑…
教訓 「誰もいない場所」には、たいてい誰もいない理由がある。
会社の健診で、胃のバリウムを飲んだ。終わると、看護師さんに白い錠剤を2つ渡された。 「下剤です。今日中に飲んで、お水はいつもより多めにね」 そ…
教訓 「あとで飲む」の薬は、ポケットの中では一錠も効かない。
——1年目の春 店員「ミント、地植えですか? 鉢のほうがいいですよ」 私「1株だけなんで。増えたら抜けばいいですよね」 店員「……まあ、はい」 ——1年目…
教訓 「増えたら抜けばいい」は、抜けるものにしか言えない。
健司とは中学からの付き合いで、30年になる。年に2回は、二人で飲む。 5年前、勤めていた食品メーカーで早期退職の募集があった。名前は「募集」でも…
教訓 自分を守るための嘘は、最後に相手のいちばん大事な人に当たった。
腹筋ローラーを買った。説明書には「最初は膝をついて」。 「膝つきは甘えでしょ。立ってやったほうが効く」 立ったまま、前へ転がした。 伸びきった…
教訓 説明書の「最初は」は、だいたい自分のことだ。
入社2年目から、毎週金曜に週報を出しています。宛先は課長、CCに本部長の高橋さん。 最初の週、宛先に「高橋」と打つと、候補が2人出ました。どちら…
教訓 返事がないのは、届いていないだけのこともある。
妻の実家へ向かう途中に、小さな峠の展望台がある。毎年夏、家族でそこに寄って、同じ場所で写真を撮ってきた。 「ほら、富士山」 最初にそう言ったの…
教訓 子どもの素朴な質問は、だいたい一度は調べたほうがいい。
新婚旅行でバリへ行きました。 成田の搭乗口で、2枚並べた搭乗券を撮って、インスタに上げました。「夫婦になって初めての旅✈️」。 上げる前に、一応…
教訓 隠すべき場所は、たいてい自分が読めない場所にある。
夏休み、初めて一人でSUPを借りた。ボードの上に立って、パドルで漕ぐあれだ。講習は前の年に2回受けている。 浜に立つ旗は、沖のほうへパタパタなび…
教訓 楽に進めているときは、たいてい何かに押されている。
202号室の皆さまへ 302号室の者です。先週の日曜日のことで、お詫びを申し上げます。 あの日の午後、ベランダから煙が上がっていたのは、火事ではあり…
教訓 煙がどっちへ行くかは、風が決める。自分ではない。
夜1時、布団の中で彼女にLINEした。 「おやすみ。世界一好き」 送る前に、トークの上の名前がちらっと目に入った気がした。 「いつもいちばん上は彼女…
教訓 既読の数は、送り先の人数を正直に教えてくれる。
ハチは、息子の翔が5歳のときに来た柴犬だった。朝の散歩は、翔の役目だった。 翔が9歳の夏、下の娘が生まれた。生後3か月で、ひどいアレルギーがある…
教訓 「分かる歳になったら」の「なったら」を決めるのは、いつも嘘をついた側だった。
祖母が亡くなったと連絡が来たのは、出張先の大阪だった。通夜は翌日。喪服は東京の家のクローゼットにある。 駅ビルの服屋で、黒いワンピースを買っ…
教訓 黒にも、並ぶと分かる黒と分からない黒がある。
結婚の挨拶に、彼女の実家へ向かっていた。 彼女は前の日から帰っている。俺は一人で車。約束は11時。ナビの到着予定は11時4分。 最後の坂道で、前に…
教訓 「もう会わない人」は、だいたい坂の上に住んでいる。
島へ渡るフェリーの上で、ドローンを飛ばした。 3年使っている機体で、旅先の空撮はもう慣れたものだ。出航してすぐ、後ろのデッキから離陸させた。船…
教訓 「自動で戻る」の「どこへ」を、一度も考えたことがなかった。
北海道に、中古の小さな山小屋を買いました。冬はそこからスキー場に通う。40代の私の夢でした。 最初の冬。年末の5日間を過ごして、1月2日に東京へ戻…
教訓 地元の人の短い質問には、たいてい長い続きがある。
金曜の夜から土曜の朝まで、私のスマホに残っていたもの。 22:14 私→部署のグループ(41人) 「来週の土曜、うちの庭でバーベキューやります! 全員来…
教訓 酔った夜の「取り消す」は、翌朝の既読41に負ける。
父が「もう一回、島に帰りたい」と言ったのは、75歳の誕生日だった。 父が生まれたのは、瀬戸内の小さな島だ。港からフェリーで40分。祖父母の墓があ…
教訓 「次」があるかどうかは、自分の予定ではなく相手の時間で決まると思うようになった。