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しくったー

失敗談

バイト2週目、ガナッシュに違うナッツを入れた。店長はそれを「しまったバー」と名付けた

🍳 料理・食 被害レベル 1 かすり傷
チョコレート屋でアルバイトを始めて2週目。初めて一人で任されたのが、ヘーゼルナッツのガナッシュだった。なめらかに練って、板チョコの中身にする。店長が半年かけて決めた配合だ。

ナッツの容器を開けたとき、あれ、こっちだっけ、と一度手が止まった。砂糖でカラメルをからめて砕いた、粒のほうだった。店長は奥で電話中だった。聞くほどのことでもない。ナッツはナッツだ、と思って、ボウルにあけた。

練り上げたガナッシュは、木べらが妙に重かった。翌朝、固まった板を割ると、ザクッと音がした。トレー3枚、全部。

店長が一口かじって、黙った。私はエプロンの裾を握っていた。
「これ、なめらかにするやつだったよね」
クビだと思った。

店長はそのトレーをダークチョコにくぐらせ、上から海塩を振り、手でざくざく割った。値札に書いた名前は「しまったバー」。数量限定で棚に出した。

3週間、ほぼ毎日売り切れた。来月から定番にする、と店長は言った。

私の失敗は、今は店のいちばん前の棚にある。「しまったバー、まだありますか」と聞かれるたびに、私は少しだけ胸を張って、はい、と言う。
この失敗からの教訓

聞かなかったのは失敗だけど、失敗を棚に出せる人の下で働けたのは運だった。

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