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しくったー

失敗談

「連帯保証だけはするな」と客に言ってきた20年目、友人の書類に判を押した

💸 お金・投資 被害レベル 5 人生レベル
金を貸す側の仕事を、二十年やっている。
窓口で何度も言ってきた。「連帯保証だけは、軽い気持ちで受けないでください」と。

田辺は高校からの友人だ。内装で独立して四年目、運転資金の一二〇〇万に保証人が要ると言った。焼き鳥屋のカウンターで、書類はもう鞄から出ていた。

「名前だけだから。迷惑はかけない」

連帯、の二文字が見えた。借りた本人とまったく同じ立場になる、という意味だ。その意味を、私はたぶん田辺の百倍知っている。だから決算書を見せてくれ、と言いかけた。口まで出た。

出したら、この二十年が終わる気がした。
「ここで書類を見せろと言うのは、疑うということだ」
そう自分に言って、判を押した。

二年三か月後、田辺の携帯が繋がらなくなった。封筒が来た。残債九八〇万。

妻に言えなかったのは三週間。学資保険を解約して、車を売って、残りは月々に組み替えた。娘は高一だった。

妻は怒鳴らなかった。一度だけ言った。
「なんで、私に聞いてくれなかったの」
借りるなとも、押すなとも、言われなかった。聞いてくれなかったのか、と。

田辺からは翌年、一度だけ手紙が来た。住所は書いていなかった。読んで、捨てた。読み返さないために捨てた。
この失敗からの教訓

人を信じることと、確かめないことは違った。いまはそれを、自分にだけ言っている。

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