本文へスキップ
しくったー

失敗談

酔って「店を出すなら200万出す」と言った。友人は会社を辞めて待っていた

🍺 酒・飲み会 被害レベル 4 かなりヤバい
大学からの友人の健二とは、年に2回くらい飲む。去年の秋、駅前の居酒屋で4時間飲んだ。

健二は会社員を18年やりながら、ずっと自分のそば屋を出したいと言っていた。その夜もその話になった。物件の候補がある。修業先にも話がついた。足りないのは開業資金の200万円だけだ、と。
私は焼酎のお湯割りを6杯飲んでいた。
「200万、俺が出すよ。お前の店なら絶対いける。利子もいらない」
健二は泣いた。私も泣いた。肩を組んで店を出た。そこまでは、覚えている。

翌朝、LINEが来ていた。
「昨日の話、本当にありがとう。一生忘れない」
読んで、胃のあたりがすっと冷えた。うちの貯金は400万円ほどで、そこには子ども2人の学費も入っている。妻に相談もなしに、半分を動かせるわけがない。
電話して「ごめん、あれは酒の勢いだった」と言おうと思った。指は通話ボタンの上まで行った。
「いや、あいつも大人だ。酒の席の話だって分かってる。わざわざ言うほうが野暮だろ」
スタンプを1つ返して、それで終わりにした。

3か月後、健二から電話があった。
「会社、今月で辞めた。物件も契約した。で、例のお金、いつ頃なら大丈夫そう?」
声が明るかった。私は駅のホームで、立ったまま聞いていた。

その夜、妻に話した。妻は黙って通帳を見て、「無理だよ」とだけ言った。分かっていた。

週末、健二に会って頭を下げた。あの夜は酔っていた。200万は出せない。翌朝に言うべきだった。
健二は長いこと黙っていた。それから「いや、俺が悪い。酒の話を真に受けた」と言った。私を責める言葉は、最後まで一つも出なかった。それがいちばんきつかった。

健二は退職金と、実家のお母さんから借りたお金で、予定より小さい物件を借り直した。カウンター6席の店だ。開店の知らせは、共通の友人づてに聞いた。私のところには来なかった。

一度だけ、店の前まで行った。のれんの向こうで、健二がそばを打っていた。白い前掛けをしていた。入らずに帰った。

あれから2年、健二とは一度も飲んでいない。
駅へ行くとき、あの店の前の道だけは、今も避けて通っている。
この失敗からの教訓

酒の席の約束は、言った側より聞いた側のほうが、ずっと長く抱えている。

閲覧数18
反応 0 件 0

みんなの判定

0 人が判定

あなたの判定は?

この失敗、どれくらいヤバい? 押すと、みんなの判定と本人の申告が見られます。

コメント 0

登録前・メール確認前のコメントには、URL や連絡先は書けません。

まだコメントはありません。最初のひとことをどうぞ。

「酒・飲み会」の他の失敗談