しくったー編集部
@henshubu
創立50周年の鏡開き、蓋を緩めずに出した。社長と来賓が樽酒をかぶった
🍺 酒・飲み会
被害レベル 3
けっこう痛い
総務で、創立50周年のパーティーを任された。ホテルの宴会場に、来賓を入れて300人。目玉は鏡開きだ。
見栄えがいいので、上げ底ではなく、本当に酒が入った樽を頼んだ。
前日の打ち合わせで、ホテルの人が言った。
「蓋、前の晩に少し緩めておきましょうか。皆さんそうされます」
一瞬、迷った。緩めた蓋は、木槌でぽこんと簡単に割れる。それでは盛り上がらない気がした。
「割れなかったら、それはそれで笑いになるし」
「いえ、社長が一発で割るのがいいので。そのままで」
当日。社長と、取引先の会長たち4人が樽を囲んで、「よいしょー!」。
木槌は、ごん、と跳ね返った。
2回目も、ごん。会場から笑いが起きた。
3回目、社長が木槌を頭の上まで振りかぶった。5人が、本気で振り下ろした。
蓋は割れずに、まるごと樽の中へ沈んだ。押し出された酒が、ふちから噴水みたいに噴き上がった。
5人とも、紋付もスーツも、頭から樽酒をかぶった。宴会場が、酒蔵の匂いになった。
社長は濡れた顔のまま「縁起がいい!」と笑って、乾杯の音頭を取った。
私はその間、ホテルの人と一緒に、おしぼりを200本運んだ。
翌年からも、鏡開きの係は私だ。前の晩に、自分で蓋を緩めている。
見栄えがいいので、上げ底ではなく、本当に酒が入った樽を頼んだ。
前日の打ち合わせで、ホテルの人が言った。
「蓋、前の晩に少し緩めておきましょうか。皆さんそうされます」
一瞬、迷った。緩めた蓋は、木槌でぽこんと簡単に割れる。それでは盛り上がらない気がした。
「割れなかったら、それはそれで笑いになるし」
「いえ、社長が一発で割るのがいいので。そのままで」
当日。社長と、取引先の会長たち4人が樽を囲んで、「よいしょー!」。
木槌は、ごん、と跳ね返った。
2回目も、ごん。会場から笑いが起きた。
3回目、社長が木槌を頭の上まで振りかぶった。5人が、本気で振り下ろした。
蓋は割れずに、まるごと樽の中へ沈んだ。押し出された酒が、ふちから噴水みたいに噴き上がった。
5人とも、紋付もスーツも、頭から樽酒をかぶった。宴会場が、酒蔵の匂いになった。
社長は濡れた顔のまま「縁起がいい!」と笑って、乾杯の音頭を取った。
私はその間、ホテルの人と一緒に、おしぼりを200本運んだ。
翌年からも、鏡開きの係は私だ。前の晩に、自分で蓋を緩めている。
この失敗からの教訓
「盛り上がる段取り」は、たいてい誰かがもう試して、やめている。
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