しくったー編集部
@henshubu
15年、峠の展望台で「富士山」を背に撮った家族写真。手前の別の山だった
✈️ 旅行・外出
被害レベル 2
ちょい痛い
妻の実家へ向かう途中に、小さな峠の展望台がある。毎年夏、家族でそこに寄って、同じ場所で写真を撮ってきた。
「ほら、富士山」
最初にそう言ったのは私だ。上の娘が3歳の夏。遠くに、三角のきれいな山が見えた。
それから15年。家族写真はいつもその山を背にして撮り、年賀状にした。「今年も富士山の前で」と添えて、毎年80枚ほど刷った。
一度だけ、小学生の娘に聞かれたことがある。
「富士山って、てっぺん白くないの?」
一瞬、言葉に詰まった。
「夏は雪がないんだよ」
そう答えて、それきりにした。考えてみれば、夏の富士山を私は写真でしか知らなかった。
今年、初めて冬に行った。義母の法事が1月にあったからだ。
展望台に着くと、いつもの「富士山」の上に、白い雲がかかっていた。
雲にしては、形がきれいすぎた。
雲ではなかった。
いつもの山のずっと後ろに、真っ白な富士山が、ひとまわり大きく立っていた。夏はいつも霞んでいて、見えていなかったのだ。
15年、年賀状の家族の後ろにいたのは、その手前の、名前も知らない山だった。
娘は笑いすぎて、しゃがみこんでいた。
その日の帰り道、私は手前の山の名前を、初めて調べた。
「ほら、富士山」
最初にそう言ったのは私だ。上の娘が3歳の夏。遠くに、三角のきれいな山が見えた。
それから15年。家族写真はいつもその山を背にして撮り、年賀状にした。「今年も富士山の前で」と添えて、毎年80枚ほど刷った。
一度だけ、小学生の娘に聞かれたことがある。
「富士山って、てっぺん白くないの?」
一瞬、言葉に詰まった。
「夏は雪がないんだよ」
そう答えて、それきりにした。考えてみれば、夏の富士山を私は写真でしか知らなかった。
今年、初めて冬に行った。義母の法事が1月にあったからだ。
展望台に着くと、いつもの「富士山」の上に、白い雲がかかっていた。
雲にしては、形がきれいすぎた。
雲ではなかった。
いつもの山のずっと後ろに、真っ白な富士山が、ひとまわり大きく立っていた。夏はいつも霞んでいて、見えていなかったのだ。
15年、年賀状の家族の後ろにいたのは、その手前の、名前も知らない山だった。
娘は笑いすぎて、しゃがみこんでいた。
その日の帰り道、私は手前の山の名前を、初めて調べた。
この失敗からの教訓
子どもの素朴な質問は、だいたい一度は調べたほうがいい。
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