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しくったー

失敗談

「名古屋出張」の那覇便が、家族で貯めるマイルの画面に載っていた

✈️ 旅行・外出 被害レベル 5 人生レベル
「来週、名古屋に2泊の出張になった」
妻にそう言ったのは、去年の11月だった。本当の行き先は那覇で、隣の席には職場の3つ下の後輩が座る予定だった。付き合って1年になっていた。

段取りは自分でやった。名古屋のお土産は通販で先に取り寄せて、会社のロッカーに入れておいた。妻からのLINEには「会議中」と返せばいい。抜けはないはずだった。

航空券を取るとき、予約画面にマイルの会員番号が最初から入っていた。
うちは家族4人のマイルをひとつにまとめて貯めている。誰がいつ、どこへ飛んだかが、同じ画面に並ぶ。5年前、妻が「娘たちの卒業旅行に使おう」と言って登録したものだ。
番号を消そうとして、指が止まった。消すのは簡単だ。ただ、あの画面のことを考えたのは、そのときが初めてだった。
「あの画面、妻は年に一回も開かない」
去年、妻が開いているのを見た覚えはない。そう決めて、番号を残したまま予約を確定した。

那覇は暖かかった。3日間、妻には「会議中」「いま終わった」と返し続けた。帰りの飛行機で、ロッカーのお土産のことを頭の中でもう一度確認した。

1月の夜、夕飯のあと、妻がタブレットを私の前に置いた。
上の娘の中学卒業に合わせて、家族で沖縄へ行く計画を立てていたらしい。マイルが足りるか確かめようとして、あの画面を開いたのだという。
「11月14日、羽田から那覇。これ、あなたの番号だよね」
名古屋、と言いかけて、やめた。便名も、座席の番号も出ていた。

言い訳を3つ考えた。どれも口から出なかった。

妻は怒鳴らなかったし、泣きもしなかった。
「沖縄は、もうあの子たちと行けないね」
それだけ言って、タブレットを閉じた。

離婚が決まったのは5月だ。後輩は春に別の部署へ移り、私の連絡に返事をしなくなった。
3月、上の娘は、妻と妹と3人で石垣島へ行ったらしい。那覇を通らない便を選んだと、あとで下の娘から聞いた。費用は、妻が自分で払ったそうだ。

家族のマイルは、夏にまとめるのをやめる手続きをした。私の口座には1万2千マイルほど残った。那覇往復のぶんも入っている。
先月、「まもなく失効します」というメールが届いた。私は開かずに消した。
この失敗からの教訓

「どうせ見ない」は、相手に見る理由ができた日に終わる。

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