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しくったー

失敗談

祖母の通夜に、駅ビルの「黒いワンピース」で出た。親族40人の中で私だけ灰色だった

🛒 買い物 被害レベル 2 ちょい痛い
祖母が亡くなったと連絡が来たのは、出張先の大阪だった。通夜は翌日。喪服は東京の家のクローゼットにある。

駅ビルの服屋で、黒いワンピースを買った。膝下丈、袖あり、飾りなし。試着室の鏡で見て、これなら大丈夫だと思った。
レジで店員さんに言われた。
「ご葬儀用でしたら、礼服の売り場は上の階にございますが」
一瞬、迷った。わざわざ上の階まで行くほどのことだろうか。黒は黒だ。
「通夜だし、黒なら誰も気にしないでしょ」
そう思って、袋を受け取った。

斎場では、親族席の最前列だった。喪主は母で、私はその隣。焼香に来る200人に、頭を下げ続ける場所だ。
照明の下で、隣の母の喪服を見て、それから自分の膝を見た。
母の黒は、光を吸い込むような黒だった。私の黒は、少し青みのある濃い灰色に見えた。後ろに並んだ親族40人は、全員が母と同じ黒だった。
礼服の黒は、ふつうの服の黒よりずっと深く染めてある。並ぶとすぐ分かるのだと、あとで叔母に教わった。
焼香の列から、何人もの視線が私の膝のあたりで止まった。

翌朝、斎場の人が親族の集合写真を撮った。
黒い服の40人の真ん中に、一人だけ、色の抜けたような私がいる。
その写真は、法事のたびに仏間に出てくる。
私は毎回、何気なく、自分の上に湯のみを置く。
この失敗からの教訓

黒にも、並ぶと分かる黒と分からない黒がある。

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